黒田陸離
「普段はやさしい、だから今日も許してしまう」「怖いけど嫌いになれない」――。交際相手からの暴力(デートDV)について若者へ理解を深めてもらおうと、広島市は15日から公式SNSで啓発マンガを配信する。作品を手がける市出身の漫画家、田村茜さんは「加害と被害のどちらにも、気づくきっかけにしてほしい」と呼びかける。
デートDVは大きく4種類に分けられる。殴る、ものを投げつけるなどの「身体的暴力」▽大声で怒鳴る、行動を監視、制限するなどの「精神的暴力」▽デート費用を全く払わない、外で働かせないなどの「経済的暴力」▽性行為を強要する、避妊に協力しないなどの「性的な暴力」だ。
大学生らの恋愛を描いた「モブ子の恋」を連載中の田村さんは、デートDVについて「言葉は知っていたが、改めて学びながらストーリーを考えた」という。その被害は「束縛や嫉妬が『うれしい』から『苦しい』に変わったときに気づけないと深刻になる」と指摘し、「大げさにしたくない、相手に支配されていると思いたくないという気持ちで、自分をごまかしていないかを考えてみてほしい」と訴える。
市は配偶者暴力相談支援センターで相談を受けている。昨年度のDV相談1050件のうちデートDVは85件だった。男女共同参画課の担当者は「氷山の一角だと思っている。困ったときはぜひ相談をしてほしい」と呼びかける。
マンガは全4話。市の公式ツイッター(@HiroshimaCityPR)などで毎月1話ずつ配信し、デートDVの各タイプを紹介する。(黒田陸離)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル