大好きな日本がコロナ禍で… 米イエール大学教授がみつめた「変化」

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的にした渡航制限や水際対策は、各国で大きく方針が分かれました。日本政府は2020年春、観光だけでなく、ビジネス、留学生や技能実習生などすべての外国人の入国を一律禁止。日本を研究する外国人学生や学者の中には来日できずに、キャリアや進路を変更したりした人もいました。外国籍の家族が入国できず、バラバラの生活を余儀なくされたケースも。米イエール大学教授で、落語など日本の文化をこよなく愛し、日本映画やメディアに詳しいアーロン・ジェローさんに、コロナ禍での日米の3年間を比較して思うことをききました。

 ――コロナから3年、今の日本の感染症対策をどうみますか。

 2020年当初は、「なぜ日本ではコロナに感染していない人までマスクをつけているのか。大げさだな」と思っていました。元々花粉症などで日本人はマスクに抵抗がないことは知っていましたが、日本特有の風景だと思っていました。まさか世界各国でマスク着用があたり前の日々になるとは……。今では日本の対応を評価したいと思っています。

 ――なぜですか。

 感染の拡大を米国よりはるかに抑えられたからです。米国では多くの人がマスクの重要性を十分に理解できませんでした。まるで銃規制に反対するかのように、マスク着用に対して強固に反対する人たちもいました。「自由が奪われる」などと騒いだ人も……。

 自由って「自分が好き勝手できること」ではないと思います。米国は個人主義の国です。でもマスクの着用をしないことは、単なるナルシシズム(自己愛)でしかないのでは。

 マスクを着用するのは、自分が感染しないためでもありますが、他人に移さないためでもあります。たとえ大半の日本人が周りに同調してマスクを着けているだけだとしても、他人への思いやりが感じられます。ここまでマスク着用が徹底できたことは、評価すべきだと思います。

日本の水際対策 外国人に差別的な側面も

 ――ジェローさんは長年日本と米国を行き来し、日本研究を志す学生たちを送り出してきました。日本政府の水際対策をどう考えますか。

 国籍によって人を選別し、未…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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