【となりの外国人】コンビニやカフェで働く外国人店員さんを最近よく見かけます。その光景は当たり前のようになりました。温泉地の旅館で仲居をした外国人は、まだ珍しいかもしれません。「日本文化に触れる仕事がしたい」と飛び込んだ職場。「日本人の接客がよかった」と言われたこともありましたが、旅館での時間を「人生の宝物」と振り返ります。ケロちゃんと呼ばれる彼の言葉から、ますます身近になる外国人と作る社会について考えます。(withnews編集部記者・三宅梨紗子)
フランスで出会った日本語ガイド
仲居をしていたのはフランス人のオリヴィエさん(25)です。2016年の夏、岐阜県の有名な温泉地、飛騨高山の旅館で働いていたと言います。
私がオリヴィエさんと出会ったのは、2018年。フランスのアルザス地方にある都市、コルマールです。ハウルの動く城や美女と野獣の舞台になったとも言われる美しい景色が有名なコルマールをひとり旅で訪れようとしていた私に、コルマールを既に訪れたことがある友人がお世話になったガイドを勧めてくれました。インスタグラムのアカウントを教えてもらい、おそるおそるメッセージを送りました。
送信して間もなく、丁寧な日本語で返信がきました。コルマールの駅で待ち合わせをすると、サンタの帽子を被って明らかに目立っている男性が……。季節はクリスマスでしたが、キリスト教徒が多いフランスでも、街中でサンタ帽を被っている人は一人もいません。オリヴィエさんは目印に、と被ってきてくれたのです。
「よろしくお願いします。ケロって呼んでください!」
オリヴィエさんのファミリーネームは「モナケロ」。そこで後の二文字をとってあだ名はケロちゃんです。持っていたかばんには、カエルのマスコットがぶら下がっていました。
ここからは親しみをもって「ケロちゃん」と呼びたいと思います。
コルマールはケロちゃんの生まれ故郷です。特徴あるカラフルな木骨組みの家々が有名ですが、ドイツとの国境近くにあり、かつては何度も領土争いが繰り広げられた場所でもあります。フランスとドイツの文化が織り交ざった人気の観光都市のひとつです。
ケロちゃんは2014年から、コルマールを訪れる日本人観光客のために日本語でガイドをしています。魅力の詰まった故郷を多くの人に知ってほしいという願いと、自分の日本語能力を生かす活動がしたいとの思いからはじめました。
ガイドでは、コルマールの歴史や名物料理をたくさん紹介してくれました。ガイドをしているケロちゃんは街でも有名で、ケロちゃんといることで地元の人々と交流することもできました。
日本語が驚くほど流暢なケロちゃん。たまに関西弁も飛び出します。「実は、日本の温泉旅館で働いていたこともあるよ!」と、日本での思い出を話してくれました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース