国内の大学におけるジェンダーギャップが、なかなか縮まらない。朝日新聞と河合塾による今年度の「ひらく 日本の大学」調査で、女性の比率は教員で26%、学長は13%にとどまることがわかった。学生は45%と、ほぼ男女半々だが、工学部は15%、理学部は27%など理系学部では女子比率が低い状態が続いている。危機感を抱く大学では、奨学金制度を設けるなど女子学生の確保に力を入れている。(阿部朋美、三島あずさ)
朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」は、2011年から毎年、全大学を対象に実施している。11回目の今年は6~8月、国公私立の775大学にコロナ禍の影響やオンライン授業の現状などを尋ね、85%に当たる655大学が回答した。コロナ禍の影響が特に深刻な分野や、今後の大学運営で課題になると考える点などを聞き、現状を探った。
職位が上がるにつれて女性比率ダウン
調査結果によると、女性教員の割合は26%だが、助教は32%、准教授は26%、教授は18%と、職位が上がるほど女性の比率が低くなる。副学長は15%、学長は13%にとどまった。
女性の登用が特に遅れているのが、国立大だ。女性教員の割合は、私立大が30%なのに対し、国立大は19%。教授は私立が21%で国立が12%、学長は私立が14%で国立は2%だった。
国立大学協会は2011年度から5年ごとに、男女共同参画推進の行動計画を策定。21年度からの計画では「25年までに女性教員比率を24%以上に引き上げる」「教授は20%以上、准教授は30%以上など職階ごとに25年までの目標値を設定する」ことなどを掲げている。「ひらく」調査でも国立大の8割以上が、教員の女性比率について目標を設定していると答えた。
一方、女性教員を増やすためには「教員の卵」となる学生を育てる必要があるが、女子学生の比率は学部によって偏りが大きいのが現状だ。「ひらく」調査では、女子学生の比率は工学部(15%)と理学部(27%)で特に低かった。
国は、第3次男女共同参画基本計画(11~15年度)に科学技術分野を重点分野として新たに盛り込み、女子中高生らの理系分野への進路選択を支援するプロジェクト「理工チャレンジ」を14年に始めるなど、理系に進む女性を増やそうと取り組んできた。ただ、文部科学省の01年度の学校基本調査では、女子学生の比率は工学部が10・3%、理学部が25・3%で、この20年間ほぼ変わっていない。
日本の工学系の女子学生や大…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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