コロナ禍の影響で昨年度に退学・休学した学生の数を、多くの大学が把握できていないとみられることが、朝日新聞と河合塾の共同調査でわかった。各学部にコロナを理由とする退学・休学者の数を尋ねたところ、退学者数を回答したのは3割弱、休学者数は4割弱にとどまった。有識者は、コロナ禍の影響を正確に記録するために、休退学の背景を丁寧に聞き取ることが重要だと指摘する。
朝日新聞と河合塾は2011年から共同調査「ひらく 日本の大学」を続けており、今年は6~8月、国公私立の775大学を対象に実施。85%に当たる655大学が回答。今回の調査では初めて、各学部に対して理由別に退学者と休学者の数を尋ねた。さらに、それぞれの理由に区分された退学・休学者のなかに、コロナの影響による退学・休学者が何人いるかも尋ねた。コロナの影響がどのような系統の学部に強く出ているのか確認するためだ。
理由別の退学者数を回答したのは2078学部で、このうちコロナを理由とする人数を回答したのは29・0%。休学理由では2042学部のうち37・0%だった。5月に発表された文部科学省による調査の結果も、大半の項目で今回調査と同様の傾向が出ており、多くの大学がコロナを理由とする退学・休学者の実態を、把握しきれていない可能性が高まった。
調査の助言役を務めた共愛学園前橋国際大の大森昭生学長は、退学理由が「経済的困窮」や「就職起業等」に分類された学生の中に、コロナの影響を受けたケースが含まれているとみる。「文科省調査の結果を受けて『コロナの影響を受けた退学はさほど多くない』という認識が広まったが、そうした見方は実態をとらえきれていない可能性がある」と指摘。今後コロナ禍を振り返った時のため、「各大学はいつも以上に丁寧に、退学理由などの情報を精査して記録しておくべきだ」と語る。
今回の調査に対し、コロナを理由とする退学・休学者数を回答した割合が特に低かったのが、入学定員が300人未満の小規模大だ。退学者で22・0%、休学者でも27・0%にとどまる。一方、同3千人以上の大規模大では退学者で34・1%、休学者で47・9%と比較的高く、コロナの影響の把握に力を入れている様子がうかがえた。
退学理由の選択肢9項目のうち、コロナの影響が強めに出たのは二つ。「経済的困窮」で退学した人の7・6%、「学生生活不適応」の6・5%がコロナを理由としていた。
退学率が高い学部は
コロナの影響に関わらず、学…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル