大学施設を新しく造ったり改築したりする際、エネルギー消費の収支ゼロを目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB(ゼブ))」と呼ばれる建物にする動きが広がっている。エネルギー消費を削減して環境負荷を減らすとともに、近年上がり続ける光熱費の削減も狙う。(高嶋将之、編集委員・増谷文生)
「空調設備の見直しをするだけでも省エネが期待できます」
そう話すのは省エネ・脱炭素化を進めるため、2020年に大手空調メーカー「ダイキン工業」から大阪大に招かれた鈴木智博准教授だ。
「ひらく 日本の大学」 朝日新聞と河合塾が共同で、2011年から全国の大学(大学院大学、通信制のみの大学はのぞく)を対象に実施。今年の調査は6~8月に778大学に行い、643大学(83%)から回答を得た。
着任時、新築予定だった大学院薬学研究科の研究棟(4階建て、約3400平方メートル)の基本設計はできていた。だが、空調のプロの目線で見ると、空調設備の能力が余剰だと気づいた。設備を部屋の規模や使用目的など実態に適した性能に変更すると、新築の研究棟では、国立大初の「ZEBレディ」(省エネで50%以上エネルギー消費を削減)を達成することができた。
ZEBは、従来型の建物と比…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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