愛する家族が予期せず亡くなった時、その理由を知りたいと、誰もが願うと思います。
こうした遺族の思いを受け、医療事故の調査を行う制度が5年前に出来ましたが、今も病院に不信感を抱くケースが相次いでいます。
その背景には何があるのか。制度の課題を探ります。
IT技術者になるのが夢だった、大学生の金坂真希さん
去年、21歳という若さでこの世を去りました。
なぜ真希さんは亡くなったのか、家族は今も真実がわからずに苦しんでいます。
【亡くなった真希さんの母親・金坂康子さん】
「私も次女も人生が変わって心が死んでしまった。時が止まってしまった。病院はそのことをどんな風に思っているのかなと思います。」
手術の後、真希さんは脳死状態に
おととし9月、真希さんは突然頭痛に見舞われ、大阪市の淀川キリスト教病院に入院しました。
診断の結果は「脳内出血」。
主治医からは「2週間ほどで退院できる」と言われていましたが、手術の後、真希さんは脳死状態に陥ったのです。
【金坂康子さん】
「主治医になぜこうなったのか原因を聞いても、原因はわからない、予測できないことが、ありえないことがおこったということをおっしゃっていた」
なんとか回復してほしい。
藁にもすがる思いでセカンドオピニオンを受けるうちに、母親の康子さんたちは「病院の処置に問題があったのではないか」と思うようになりました。 別の病院の医師の話を聞き、手術後のCT検査で、異常な出血を見落とし、状態が悪化した疑いがあると考えたのです。
改めて主治医に説明を求めると、態度が一変。
「裁判を見据えているのでお話はできません」(淀川キリスト教病院)
不信感を募らせた康子さんは、病院を相手に損害賠償を求める裁判を起こしました。
真相究明のためには、この方法しかありませんでした。
裁判の準備が進む中、真希さんはおよそ1年間の脳死状態の末に亡くなりました。 【金坂康子さん】
「まさかこんなことになるなんて。考えもしなかった。いまだにもちろん受け入れられないし、の子がいないという現実も考えられないですね。真相を知りたいと思うのは家族だったら当然のことだと思う。それすらできない。」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース