ジャーナリストの鈴木哲夫がニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月27日放送)に出演。40年前に起きた鹿児島の大崎事件の再審請求が最高裁で取り消しとなったことについて解説した。
大崎事件
いまから40年前の1979年。鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった、いわゆる大崎事件で最高裁判所は26日、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した義理の姉・原口アヤ子さん(92)の再審請求を認めない決定をした。
飯田)この再審請求ですが、2017年6月に鹿児島地裁で再審開始の判断。去年(2018年)3月にも福岡高裁宮崎支部で再審開始が認められていたのですが、最高裁は5人の裁判官全員一致の結論で再審取り消しとなりました。法医学者の鑑定をどうとるか、あるいは目撃証言に対する心理学鑑定の評価というところですが。
鈴木)法医学のいろいろな証拠が出て来たこと、事件発生当時は遺体の損傷が激しかったこと。法医学の報告そのものに対していろいろな考え方、捉え方ができるという難しいところもありました。それから実は被告が複数いて、それぞれ供述が二転三転して、非常に難しい裁判だということが言えるでしょう。
白鳥決定からの再審の流れを切るおそれがある
鈴木)再審とは、もう1回裁判をやり直してくださいということです。これをどのように捉えるかということだけれど、昭和50年に白鳥決定というものがありました。札幌で起きた殺人事件の再審請求が出て再審した、その流れのなかで、最高裁が「疑わしきは疑わしい、はっきりと白黒つかないときには被告に有利に」と示しました。いまでは刑事裁判の原則のようなところがありますが、再審請求にもそれを適用すべきだと。だから再審請求が出て来て、確かにこの辺が少し曖昧だということがあれば、疑わしきはというところで、再審をしましょうという方向性が出たのです。私は再審裁判を担当したことはありませんが、そういう裁判を担当した弁護士から話を聞くと、白鳥決定から再審請求はすごく増えている。
そういう意味では今回その原則に基づかず、「やらない」と決めたのは異例のことです。逆に言うと、増えている再審裁判に対して少しブレーキをかける、そんな判断が働いたのではないかと言う人が多いです。これは非常に大きな課題を残します。再審の根本、基本である、疑わしきは被告に有利にという精神の流れを、バサッと切ってしまうのではないかという不安はあると思います。
飯田)40年前の事件ではありますが、他の事件ではDNA鑑定の技術の進歩によって新たなことが分かったり、実は検察の手元にはあったのだけれど出していない資料があったりということもあります。
鈴木)いろいろありますから。特に昔の事件ほどそうだけれど、捜査の過程で科学の力を使った捜査がまだ行われていないころのものとかね。地域によっても違うと思います。
ニッポン放送
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment