「大川原化工機」(横浜市)への捜査をめぐる訴訟で、東京都と国は、逮捕や起訴などの違法性を認めて計約1億6千万円の賠償を命じた東京地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴する方針を固めた。関係者への取材でわかった。
控訴期限は10日。大川原化工機側も控訴するか検討を進めている。
警視庁公安部は2020年3月、同社の噴霧乾燥機が輸出規制の対象なのに国の許可を得ずに輸出したとして、外為法違反容疑で大川原正明社長ら3人を逮捕。東京地検は同月に起訴したが、輸出規制の要件の一つである殺菌性能を立証できないとして、21年7月に起訴を取り消した。
大川原社長らは損害賠償を求めて都と国を提訴。23年12月27日の地裁判決は、機器には殺菌に必要な温度に達しない箇所があると同社側が具体的に説明していたのに、それを確認せずに公安部が逮捕したのは違法と認定。東京地検による起訴なども違法と判断した。
また公安部の警部補が同社の元役員に対し、殺菌要件の解釈をあえて誤解させた上で供述調書に署名押印させ、「偽計を用いた取り調べ」をしたとして違法性を認めた。
訴訟では、昨年6月、証人として出廷した現役の公安部の警部補が、事件について「まあ、捏造(ねつぞう)ですね」と述べていた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル