そこは大手の書店が撤退した場所だった。約1万3千人が暮らす横浜市旭区の若葉台団地。住人の三田修平さん(40)は、あえてこの場所で本屋を持つことにした。「団地の本屋」に可能性を感じたからだ。
2022年8月、「BOOK STAND若葉台」のオープンにこぎ着けた。80平方メートル余りの店内には新書、絵本、NHKの語学テキストなど様々な本が並ぶ。新聞の切り抜きを手に本の取り寄せをする高齢者や、小さな子どもを連れた母親、定期購読の雑誌を取りに来るビジネスマン……。客層は幅広い。
でも、三田さんの悩みは尽きない。
「どういうスタイルなら生き延びられるのか。難しいです」
「本屋をやろう」と決めたのは大学時代。勉強の延長で読んだ経済小説が「めちゃくちゃおもしろかった」からだ。様々なジャンルを読みあさるようになり、本好きが高じて大手書店に就職した。
転職して東京・渋谷の新しい書店の立ち上げに携わった後、2012年に独立。車で公園や大学、イベント会場などに出向いて出店する「移動式本屋」を始めた。
利用者は団地住民、書店が成立するのか…
三田さんも書店がある団地で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル