英会話教室「Gaba」の講師、阪崎武蔵さん(45)は、教室の運営会社から届いた一通の英文メールを見て目を丸くした。
10月1日以降も同様に取引を継続するために、インボイス発行者への登録を義務づけます――。
とてもやすやすと受け入れられる内容ではなかった。
阪崎さんは週4~5日Gabaで講師として働く。その月収の約16万円に加え、カメラマンの仕事もしているが、年収は250万~300万円ほどだ。最近は物価が上がっているから、相対的に生活は苦しさを増す。
業務委託契約、そのこころは…
Gabaの場合、運営会社は阪崎さんら講師を雇用するのではなく、英語を教える業務を委託する契約形態を採っている。それによって、講師は仕事以外の関心事を自由に追いかけることができる、と運営会社はホームページで説明している。
報酬は、レッスンサービスの対価などという形で支払われる。
消費税は売り上げに含まれる消費税から仕入れに含まれる消費税を控除して納める仕組み。レッスンサービスの対価には消費税が含まれるため、運営会社はその分だけ税控除を受けることができた。
しかし10月以降、この税控除を受けるためには、運営会社は講師から「インボイス」(適格請求書)の発行を受ける必要が生じる。
インボイスが発行できるのは、消費税の納税義務がある「課税事業者」だけ。阪崎さんら講師の多くは年間売り上げが1千万円以下で納税が免除されている一方、インボイスは発行できない「免税事業者」だ。
運営会社から阪崎さんら講師に、冒頭のメールが届いたのは今年3月。免税事業者が取引先だと、運営会社は税控除が受けられず負担が増してしまうから、講師はインボイス発行者として登録してほしい、というのがその趣旨だった。
運営会社の求めに応じて、インボイスを発行するために課税事業者になれば、これまで免除されてきた消費税の納税義務が生じる。
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阪崎さんの場合、新たな納税…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル