大輪のバラ、天に届け 熊本地震で母を亡くした娘が整備

 同心円状に5列のバラが植えられている。株の一つひとつが花弁をなして、空から見ると大きな一輪のバラ。5年前の熊本地震で母を亡くした娘が、天から見えるようにとバラ園をつくった。花は見頃を迎えている。

 舩瀬和美さん(62)が2018年1月から、熊本県益城町の100坪ほどの土地にバラを植えている。

 母の津崎操(みさお)さんは洋裁を仕事にしていた。幼かった娘の服はほとんどが母の手作り。ひらひらのネグリジェ、ポケットに刺繡(ししゅう)の入ったグレーのウールコート。無口でおとなしい母だった。園芸に関心はなかったが、和美さんの双子の姉、冨永眞由美さん(62)が自宅の庭に植えたバラを見せると、ニコリと笑った。「これ、きれいかね」

 16年4月16日未明、熊本地震で2度目の最大震度7を観測した「本震」の後、眞由美さんは寝たきりの操さんを連れて、熊本市東区の自宅から近くの家電量販店の駐車場に避難した。操さんは次第に呼吸が浅くなり、夜明けとともに病院に連れて行ったが間に合わなかった。89歳だった。

 一緒に自宅に帰った。火葬場…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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