新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言について、大阪府は25日の対策本部会議で、今月末を期限とする宣言の再延長を政府に要請する方針を決めた。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が続いていることや変異株の影響を踏まえて判断した。延長時の対策については、府知事の判断により人流抑制策として継続している百貨店など大型商業施設への休業要請は見直す方針だ。
26日にも兵庫県や京都府と一体で要請する方向で調整している。吉村洋文知事は会議で「(コロナ対応は)通常医療を制限しながらやっており、医療提供体制は極めて厳しい状況が続いている。変異株の感染拡大力も考えた時、緊急事態宣言の延長を要請したい」と述べた。
会議終了後には延長幅について「短い期間では不十分」と記者団に語った。百貨店など大型商業施設については、兵庫県や京都府の対策と同様、平日は営業時間短縮、土日は休業を要請する方向で緩和する考えを示した。
大阪、兵庫、京都、東京の4都府県に3回目の緊急事態宣言が出たのは4月25日。5月11日が期限だったが、新規感染者数が高止まりし、医療提供体制は危機的状況にあったため、同月末まで延長された。
大阪府内の新規感染者は4月中旬以降、連日1千人を超えたが、5月9日以降は3桁台が続く。23、24両日は300人を下回った。府によると、2回目の宣言解除後の3月1日~4月4日の人出と比べると、3回目の宣言下の4月25日~5月24日は梅田駅で5割、なんば駅で6割にとどまった。府は「緊急事態宣言により、人流と感染者が大きく減った」と分析する。
だが、24日時点で重症病床(348床)の使用率は83・0%。中等症病床などで治療を続ける29人を含めると実質91・4%に達する。府には「感染が再拡大すれば対応できない」との危機感がある。
変異株への警戒感も強い。府の資料によると、従来株から感染力がより強いとされる変異株への置き換わり割合は、関西3府県では4月上旬に75%程度、5月上旬にほぼ100%となった。
府が「第4波」とする3月下旬の1日あたりの新規感染者は平均300人弱だったが、約2週間後には1千人超に急増した。重症者の増加速度も昨年10月~今年2月の「第3波」の3倍。3月18日に54人だった重症者は、47日後の5月4日には8倍の449人にのぼった。
1、2回目の緊急事態宣言では、全国に先がけて解除を要請した吉村知事だが、こうした苦い経験から今回は再延長を強く求める。「ワクチン接種が広がらないと(感染拡大抑制に向けた)本質的な解決にならない」とする。
府専門家会議の朝野和典座長は25日の会議で、対策緩和の議論を始めるタイミングについて、「すべての重症患者が重症病床に入院し、(府が計画的に確保する)224床を下回った時だ」との意見を寄せた。(久保田侑暉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル