大阪府の吉村洋文知事が世界の金融拠点となる国際金融都市を目指すのは、企業や人材、カネを世界から集め、“地盤沈下”が叫ばれる関西経済を復活させたいからだ。すでにネット証券大手SBIホールディングスが府と連携して動くなどし、実現に向け着々と歩みは進んでいる。 国際金融都市が実現すれば、世界的な金融機関やフィンテック企業、優秀な人材が流入し、金融市場の取引が活発になる。関連技術を持つベンチャー企業なども集まり、関西経済の成長力が高まる可能性がある。 関西経済は地位の低下が叫ばれて久しく、関西を拠点とする大手企業は相次いで本社機能を東京に移し、人口の流出が流入を上回る「流出超」も続いた。一時はインバウンド(訪日外国人客)増加が追い風になったが、足元では新型コロナウイルス感染拡大が経済を冷え込ませている。 大阪の構想は決して絵空事でない。18日には官民組織の設立方針を発表。SBIが積極的に動いており、コメ先物取引を扱う堂島商品取引所を構想の中心と位置づけ関与を強め、株式会社化後には15%程度を出資すると表明している。 今後、大阪へ統合型リゾート施設(IR)が誘致できれば、大規模な集客イベントを行う中核施設「MICE施設」との相乗効果も期待できそうだ。 最大のライバルは、香港から国際金融都市の地位を奪いつつあるシンガポールだ。りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「培ってきたアジアとの人、モノの交流のノウハウなどが大阪の強み」と指摘している。(山口暢彦)
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