加藤あず佐
大阪市内の学校で、校舎の天井の一部が落下する事案が相次いでいる。大阪府と市の教育委員会は、校舎の老朽化に加え、連日の雨による雨漏りが原因とみる。落下前には「予兆」が見られることも多いといい、市教委は学校に注意を呼びかけている。
ガシャーン「誰かがいすから転げ落ちたかと」
「ガシャーン!」。5月24日朝、大阪市立瓜破小学校(同市平野区)の5年生の女子児童(10)は、教室で大きな音を聞いた。「誰かがいすから転げ落ちたのかな」と思ったが、教室前方の天井ボードが落ちていた。ボードが左腕をかすった児童が「あぶなっ」と驚きの声を上げた。幸いけがはなかったが、始業前で十数人の児童が登校しており、教室内は騒然とした。
落下したのは、45センチ×90センチ、重さ約2・6キロの天井ボード。「まさか落ちてくるとは想像もしていなかった」と、女児は怖がる。教室では以前から雨漏りがあり、床にはバケツや雑巾が置かれていた。市教委は、雨による天井内の漏水で、ボードが水を含んで重くなったことが落下の原因とみている。
今週、市内の学校では似たような事案が続いた。5日には、府立東住吉支援学校(同市東住吉区)で、高等部の教室の天井ボード(約2キロ)が落下しているのが見つかった。けが人はいなかった。府教委は、瓜破小と同様の原因とみている。
5キロのコンクリ片落下 生徒に切り傷
同日夕、市立平野中学校(同市平野区)では、プール更衣室の天井のコンクリート片(約5キロ)が落下した。水泳部の活動前に着替えをしていた2年生の男子生徒1人が頭に切り傷を負い、病院で処置を受けた。天井内の鉄筋がさびていたことから、市教委の担当者は「老朽化した壁のひびから雨水が入り、鉄筋が膨張してコンクリがはがれ落ちたのではないか」と話す。同時期に建てられた更衣室が、市内約50の小中高校にあるといい、緊急点検を行う方針だ。
市教委によると、落下した天井の素材はそれぞれ異なるが、漏水が原因で天井が落下する場合、予兆が見られることが多い。
まずは、天井のシミだ。漏水が起きると、天井の一部に黒ずみや黄ばみが出たり、ふやけたりする。細かなひび割れにも注意が必要だ。ペンキを塗り直して見えにくくなっていることもあるが、水がしみ出す原因になる。こうした変化が見られる部分は、棒でたたく。空洞があるような反響音がする場合は、雨水が入る可能性があるという。
市教委の担当者は「変化がないかを日常的に点検する必要がある。少しでも異常が見つかれば、助言するので連絡してほしい」と話す。(加藤あず佐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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