大阪の「ヒガシ」の拠点となるか-。大阪のシンボル、大阪城公園の東側(大阪市城東区、東成区)で、次世代を見据えたまちづくりがスタートした。令和7年度には、大阪府立大学と大阪市立大学の統合による新大学のメインキャンパスが設置される。大阪府市は民間事業者と協力し、メインキャンパスを軸にエリア全体を整備する方針で、「キタ」や「ミナミ」に続く、大阪の新たなまちが誕生しそうだ。
■森之宮を「知の拠点」に
「新大学の研究者のマンパワーを生かして、大阪にウイルス研究の拠点をつくりたい」
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、大阪市の松井一郎市長は4月、令和4年度の開学を目指す新大学を中心に、感染症研究の拠点をつくりたい意向を示した。新大学には医学部や農学部、獣医学部といった「ウイルス研究に適した環境がそろう」(松井氏)こともあり、期待が高まっている。
「知の拠点」としての発展が見込まれる新大学のメインキャンパスは、JR大阪環状線の大阪城公園駅近くの森之宮地区にある市用地(2・6ヘクタール)に整備される予定。同地区には、産官学が連携したシンクタンク機能が置かれ、最先端技術を生活や都市機能に導入する「スマートシティ」実現に向けた拠点づくりの構想が進む。
まちづくりの対象エリアは、このメインキャンパスを含め、大阪城公園の東側53ヘクタールに及ぶ。
JRと大阪メトロの駅が近く、交通利便性が高いにもかかわらず、大規模な未利用地が残されていたエリアで、市の担当者は「活用しないままではもったいない。ポテンシャルを最大限引き出したい」と話す。
■好立地生かしたまちづくり
府市は有識者らと検討会を立ち上げ、昨年12月から、まちづくりの方向性を議論。大阪城公園に近く緑豊かなエリアでありながら、都心と近いという好立地を生かすため、さまざまな検討を重ね、3月に方針案を公表した。
方針案によると、メインキャンパス周辺には商業、宿泊機能を備えた施設を配置。また、既存の都市再生機構(UR)の団地や病院がある一帯を居住ゾーンとし、1級河川の第二寝屋川に面したエリアは、遊歩道など散歩や休憩ができるスペースを備える親水空間とした。
さらに、JR大阪城公園駅とメインキャンパスの間には連絡通路も設置し、学生らが通学しやすいよう利便性を高める工夫も盛り込んだ。
■新型コロナ、どう影響
大阪市では、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」や、2025年大阪・関西万博の開催地やカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致予定地となっている人工島、夢洲(ゆめしま)(此花区)で大規模な都市整備が進む。
市は「ヒガシ」も、大阪の発展を支える新たな拠点と位置づけたい考えだ。開発にあたっては、民間投資を呼び込み、税投入をなるべく抑えたいとする。松井氏は「スマートシティの拠点を目指していくので、民間のスマートシティ関連の企業や研究所などが、このエリアに進出してくれればいい。民間事業者と協力して進めたい」と語る。
ただ依然、収束気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大による影響で先行きは不透明。経済や景気の冷え込みが長引けば、開発に対する民間投資の機運が下がる懸念も生じかねない。
市幹部は「不動産投資は景気動向に左右される。今のような(コロナ禍の)状況が続けば、不動産にも影響があると思う。計画を見直す必要が出てくるのかどうか注視していきたい」としている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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