大阪メトロ(大阪市)の40代の男性社員が上司からパワハラを受け、今年3月に社内で死亡しているのが見つかった問題で、男性が上司から日常的に「死んでまえ」と言われたり、頭髪を丸刈りにするよう求められたりしていたことが遺族への取材で分かった。会社が社内調査の結果を遺族側に報告した。遺族側は11月16日、男性の死亡を労災と認めるよう申し立てた。
大阪メトロは今月3日、社内で自殺したとみられる男性にパワハラを繰り返していたなどとして、6月に上司の男性課長(50代)を停職1カ月と係長への降格処分にしたことを朝日新聞などの取材に対し認めた。パワハラの内容については「人格を否定するような暴言を繰り返した」などと説明するにとどまり、男性の死亡との因果関係は不明とした。
遺族側によると、男性は大阪市職員として市交通局で働き、2018年の市営地下鉄の民営化に伴い大阪メトロの社員になった。経理業務の担当で、18年当初からこの課長の下で働いていた。
男性は今年1月、突然丸刈りになった。心配する遺族に「仕事ができひんからペナルティーでさせられてん」「俺が悪いねん」などと話した。男性はうつ病の治療をしており、主治医に「仕事ができなかったので坊主頭になった」「上司からボロクソに言われている」などと話したという。3月6日、社内で亡くなっているのが見つかった。
大阪メトロから5月、社内調査の結果が文書で報告された。課長が男性に「アホ」「仕事辞めてまえ」「死んでまえ」などと繰り返したことや「頭を丸めることをペナルティーの一例として挙げた」ことを認めたという。課長の言動がパワハラに当たるとして、会社として謝罪した。
遺族側は、男性が社内で使っていたパソコンの作業時間から、月100時間以上の時間外労働が常態化していたとも主張。上司のパワハラ行為と長時間労働が重なり、一度は治りかけたうつ病が再発症して死亡に追い込まれたとして、大阪西労基署に労災申請した。
遺族側代理人の岩城穣(ゆたか)弁護士は「上司の執拗(しつよう)なパワハラが追い詰めた。仕事が死の原因になったのは明らかで速やかに労災が認定されるべきだ」と話す。
大阪メトロは労災申請についての朝日新聞の取材には「コメントは控える」と回答した。(遠藤隆史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル