民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)は8月10日、全世界での一晩の宿泊者数が400万人を突破したと発表した。一晩の宿泊者数としては、過去最高だという。
【全画像をみる】大阪・東京が世界トップ10に入るAirbnb、一晩の宿泊者数が400万人を突破
世界の人気都市の中でも東京と大阪はトップ10に入っており、1つの国から2都市がトップ10に入っているのは日本だけだという(2019年6月のデータより)。
2008年に設立されたAirbnbは、2014年に日本上陸。シェアリングエコノミーの代表格として注目を集めてきた。しかし、2018年6月、一般住宅の空室や空き家を宿泊施設として利用する場合のルールを定めた「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行。
この民泊新法のあおりをうけ、Airbnbに掲載されていた多くの物件がリストから姿を消した。2018年まで右肩上がりだった物件の掲載数は、新法施行の前後に一気に8割減の1万3800件にまで激減したとみられる(日本経済新聞、2018年6月4日付)。
Airbnbが発表したデータによれば、民泊新法による物件数の落ち込みは、この1年で、施行前の数を超える水準にV字回復しているという。
2019年6月時点で、Airbnbに掲載されている物件の件数は約5万件、予約できる室数は約7万3000室へと増え、いずれも過去最高をマークした。
その大きな要因となったのが、企業とパートナーシップを組むことによるサービスの拡大だ。パナソニックホームズなど物件を貸し出す64社を中心に計117社と提携し、事業会社系物件のマッチングも担う。「Airbnb Partners」と名付けられたこの枠組みは、世界で唯一日本だけが展開している。
“民泊の旗手”として拡大してきたAirbnbがこれから見据えるのが、民泊にとどまらない「体験」を重視したサービスの拡大だ。
現在、Airbnbのサイトでは、「宿泊」の他に「体験」さらに「レストラン」の検索も可能になっている。掲載されている「体験」を見てみると、秋葉原のアニメの聖地を巡るツアーや新宿で居酒屋をハシゴするツアーなど、訪日外国人に人気のありそうなものが目立つ。
2016年から始まったこの「体験」は現在、世界の1000以上の都市で、4万件以上が予約可能だという。
さらに、高いクオリティーのホストを認定する「Airbnb Plus」、一泊数十万円規模のラグジュアリー物件が予約できる「Airbnb Luxe」を開始するなど、宿泊においてもより「体験」を重視したサービス展開に舵を切っている。
2019年内の上場も噂されるAirbnb。民泊にとどまらない事業展開で、シェアエコの新しい形を示すことができるのか。
(文・西山里緒)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース