9月1日に投開票される大阪府枚方市長選で争点の一つになっているのが、市の玄関口である京阪枚方市駅周辺の再整備事業だ。府内の自治体による駅前再開発としては異例の規模で、渋滞解消などがねらいだ。人口減少に歯止めをかける方策としても注目されているが、中核市とはいえ、200億円を超える財政負担となる。事業を改めて検証した。(小泉一敏)
■216億円の負担
「道やロータリーが狭くて、朝夕は混雑するんですよ。特にこんな天気の日は」。小雨の降る夕方、市駅中央口付近で信号待ちをしていたタクシーの運転手がこぼした。
日常化している渋滞の解消を目指し、市は平成25年に市駅周辺約40ヘクタールの再整備ビジョンをまとめ、30年12月にはさらに地域を絞り、甲子園球場3・3個分にあたる約13ヘクタールを対象とした基本計画を策定した。
基本計画では、5つの街区に分割し、駅前広場や民間商業施設、民間ホテル、マンション、災害時の避難場所となる公園などを配置。市役所や国の出先機関が入る合同庁舎の建設も盛り込んだ。現在の市役所本館は昭和35年、別館は44年に建設されている。
市と民間業者が開発にあたり総事業費は約1400億円。このうち約1200億円を補助金やマンション販売による収益などでまかなう。市は道路や駅前広場などの整備にあたり、216億円を負担すると試算している。再整備の完了は令和12年ごろの見通しだ。
今年度の市一般会計当初予算は約1400億円で、市負担はその約15%の規模。市担当者は「自治体でこれほど大規模な駅前再開発事業は珍しい。対象外地域との融和を含めた一体的なまちづくりを目指す」と話す。
■令和の再開発
枚方市は昭和30年代から大阪や京都のベッドタウンとして人口が急増し、ピーク時の平成21年には約41万人に膨らんだが、現在は減少傾向にある。
市駅はもともと「枚方東口駅」という名称だったが、昭和24年に現在の駅名に変更。変更後、周辺は府営住宅が建設され、市役所が移転、46~50年度に再開発が行われている。
再開発で駅周辺の魅力を高め、住宅と商業施設、行政施設を集約、便利な中心市街地をつくる-。これまでも市は、そうしたまちづくりを行ってきた。
だが、「令和の再開発」ともいえる今回は、課題もある。人口減少や高齢化で税収が伸び悩む中、どう効率的な事業としていくか。
市長選では、現職の伏見隆氏(51)=大阪維新の会公認=が「20年、30年先に市がどうなるか分かれ道となる事業。人が集まって経済活動する場をつくり出したい」と訴える。
一方、新人の大橋智洋氏(40)=自民推薦=は「商業施設を減らし、家族向けの施設を加えることで、子育て支援を合わせた再整備にする必要がある」と主張している。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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