2025年開催の大阪・関西万博のパビリオン建設が進まない。人手不足などの業界事情も背景に、今春から本格的に始まるはずだった工事の多くが滞っている。開幕まで残り約1年9カ月。建設費の高騰など「誤算」も相次ぎ、政府や地元は対策に追われている。
4月13日、万博会場となる夢洲(ゆめしま、大阪市)で開かれた起工式。岸田文雄首相は、集まった企業トップや首長らを前に万博への期待をこう語った。「世界から多くの人にお越しいただき、1970年の万博を超える新世紀の万博にしていきたい」
この日から参加国などへの敷地の引き渡しが始まり、建設作業が本格化するはずだった。
各国からの申請、いまだゼロ
それから3カ月。「万博の華」とされるパビリオンの建設の遅れが露呈している。
パビリオンの出展には、各国が費用を負担して独自に建てる「タイプA」▽日本国際博覧会協会(万博協会)が建てた施設を引き渡す「タイプB」▽建物の一部区画を貸す「タイプC」がある。問題になっているのはタイプAだ。建物自体が展示物で万博の目玉となる。関係者によると中国やドイツ、オランダなど、56カ国・地域の出展が見込まれている。
協会はこれまで、建物の工事を2024年7月、内装の工事を25年1月までに完了し、そこから展示の工事に入る工程を描いていた。パビリオンの建設はこれらを合わせて通常、計1年半ほどかかるとされるため、開幕に間に合わせるには今秋までの着工が必要との声が多い。
その上、建設で必要な大阪市…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル