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大阪府は3日、緊急の対策本部会議を開き、新型コロナウイルスの感染状況を判断する独自基準“大阪モデル”に基づき、非常事態を示す“赤信号”を初めて点灯させることを決定しました。感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授に聞きます。 大阪の“重症者の病床使用率”は66%となっています。この数字は、“確保している病床数”を分母にしています。“実際に運用している病床数”を分母にすると、82.9%と高い数字になります。 (Q.この違いはどういうことなのでしょうか)
これは簡単にいえば、目標の数と実際の数の違いです。病院側が自治体から確保できる病床を問われたとき、例えば10床と言っても、すぐに患者を受け入れるということで答えているわけではなく、そこを目標にしたいということです。大阪は206床を確保しているといいますが、実際に受け入れられるのは164床。これが現実のものということになります。さらに、病床を増やすということは、簡単なことではありません。今、病床を増やせない状態で、受け入れなければいけない患者が増えている。そういう意味では余裕はないと思われます。数に表れてきていないひっ迫度は深刻な状態だと思います。大阪府医師会によりますと、重症判定からの死亡よりも軽症・中等症診断のまま亡くなっている人が多いということです。急変したり、あるいは、受け入れ側がなく、そこまでたどり着かず、亡くなっている人もいます。いま、コロナの患者に対して、しっかり対応できるような状況ではなく、医療現場はいっぱい、いっぱい。かなりのところまで追いつめられていると思います。 医療現場のひっ迫だけでなく、コロナ以外の患者にも影響が出ています。10月に、がん患者約300人を対象に行われたアンケートによりますと、がん患者の8人に1人が、治療内容やスケジュールを変更したといいます。主な内容としては、外来のキャンセル・延期、血液検査、レントゲンなどのキャンセル・延期。そのうち医療機関の判断による変更が6割で、自己判断での変更が4割でした。自己判断で変更した理由としては、院内感染への不安や、通院途中の感染への不安などが挙げられました。 (Q.この状況をどのようにみますか)
がん患者も深刻だと思いますが、いま、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を持っている人の外来を減らしています。例えば、1カ月の治療を2カ月、3カ月に延ばしています。そうなると、受診の回数は減らせるけど、先生と話したり、検査回数も減ってきますので、悪化しても発見できないこともあります。また、小児の受診控えも深刻で、子どもたちがワクチンを受けられない状況になっています。海外では、ワクチンを受けられなくて、亡くなっている人もいます。コロナ以外の治療や予防も、影響を受けていると思います。 (Q.これは医療崩壊といえるのでしょうか)
医療崩壊という言葉に対する定義はありませんが、ただ、本来、提供すべき医療サービスが提供できず、深刻な状況になったり、亡くなったりする人が出てくると、医療崩壊といってもいいと思います。 (Q.大阪・梅田駅の人出を見てみると、11月に入って減少しているようにもみえます。これはどうみますか)
人の動きは、その時の状況によって反映されます。だんだんと感染者が増えていくなか、大阪の人は危機感を持っているから、少し人出も減ってきているのだと思います。今回、赤信号が出て、人の出方が減って、接触の頻度も減って、そして、それが反映されてくれば、これからの大阪の感染者数が減ってくる可能性がありますので、それを期待したいです。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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