大阪医大の元講師を刑事告発 厚労省、無届けで再生医療

 大阪医科大(大阪府高槻市)の講師だった男性医師(52)が、国に届け出ずに脂肪幹細胞を人に投与する再生医療を施していた問題で、厚生労働省は、この元講師を再生医療安全性確保法違反の疑いで大阪府警に刑事告発した。府警は24日に受理した。府警は立件へ向けて捜査を進める。元講師は日本再生医療学会の認定医で、学会は再生医療への信頼性に関わる事態とみて処分を検討している。

 大阪医大などによると、元講師は3~5月、法で義務づけられた国への届け出や専門家による審査を経ずに、知人の元大学教授や部下の助教ら40~80代の男女4人の腹部に局所麻酔をかけ、脂肪幹細胞を採取して培養。うち女性1人には培養した細胞を点滴投与したという。4人に健康被害は確認されていない。

 局所麻酔や点滴投与は医療行為にあたる。だが実施されたのは、大阪医大の動物実験などを行う研究棟4階の廊下(幅約2メートル)で、簡易ベッドや手術器具が持ち込まれたが、十分な医療設備とは言い難い環境だったとされる。大学側にも無断だったため付属病院の施設は使えなかったとみられる。

 大学側は5月、内部通報で把握した。5人目となる50代女性から細胞を採取しようとしている現場に上司が踏み込んだ。報告を受けた厚労省は8月に立ち入り検査し、大阪府警は翌9月、同法違反容疑で大学などを家宅捜索した。

 脂肪幹細胞を用いた再生医療は、民間クリニックが美容や老化防止目的で行っているが、科学的な根拠は十分ではないとの指摘もある。元講師は大学の調査に「アンチエイジング目的で頼まれ、断り切れなかった」と説明したという。だが、ある大学関係者は「再生医療を推進する研究者が、アンチエイジング目的で行うことは考えにくい」と首をかしげる。

 培養に使われたのは元講師が考…

【1/15まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment