森下裕介
大阪府の下水処理場で2017年、堺市の下水道管が破損して下水があふれ出した事故で、市が府に約15億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。西岡繁靖裁判長は「下水道管が腐食する可能性を市に知らせるのを怠った」として、府に約8億円の支払いを命じた。
吉村洋文知事と永藤英機市長はともに大阪維新の会の所属。永藤市長は「堺市にも府にも言い分があり、裁判で決着をつけたほうがすっきりする。府との連携を進めるのとは別だ」として、府を訴えていた。
判決によると、府の下水処理場から流れてくる汚水で、市の下水道管が腐食。17年の台風で大量の下水が流れ込み、下水道管が破損した。そこへ地中の土砂も入り込んで処理場で陥没事故が発生。下水があふれ出し、付近の駐車場が浸水したり、保育園のトイレが流れなくなったりした。
判決は、下水道管が破損した最大の要因は、府の下水処理場からの汚水による腐食だったと指摘。府は遅くとも事故の前年までに、下水道管が腐食する可能性について市に知らせる義務があったと認め、市の復旧費用などから、国の補助額を差し引いた全額を府に支払うよう命じた。
吉村知事は「判決は、府にとって厳しいものであると受け止めている。控訴するかどうかも含め、検討していきたい」とコメント。永藤市長は「判決の内容を精査するため、コメントは差し控える」とした。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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