大阪高裁で14日にあった覚醒剤取締法違反事件の判決公判で、裁判長が被告に対し、刑期から差し引かれる日数を誤って100日分多く言い渡していたことが、高裁への取材でわかった。検察官が直後に間違いの可能性を指摘し、公判は中断。21日に改めて判決公判が開かれ、正確な日数が言い渡された。
弁護人によると、判決の言い直しは異例。
この公判は、大阪地裁で3月、覚醒剤取締法違反罪で懲役2年10カ月の判決を受けた30代男性の控訴審。
判決確定までに拘置所などで身体的に拘束されていた期間を「未決勾留日数」と呼び、刑法では「全部または一部を刑期に算入できる」と定めている。
男性裁判長は14日の判決で、被告に控訴棄却を言い渡し、一審判決で未決勾留日数と判断された240日分に、控訴審の130日分を加えた計370日分を刑期(2年10カ月)から差し引くと告げた。直後に検察官が「差し引かれる日数が多すぎるのでは」と指摘。裁判長は閉廷を宣言する前に判決を撤回し、日数を精査した上で21日に判決を言い直すことになった。
弁護人によると、被告は別の薬物事件で「一部執行猶予」の有罪判決を2017年5月に受けたが、今回の一審判決後に執行猶予が取り消され、今年5月から服役した。
服役期間は未決勾留日数に加算されないが、裁判長は21日の公判で「執行猶予取り消しの通知が届いていなかった」と説明。刑期から差し引かれるのは正しくは270日分だったと判決を言い直して閉廷した。
判決は、裁判官が閉廷を宣言しない限り言い直すことができる。ただ、いったん閉廷してしまえば修正できず、上級審で再度言い渡すことになるという。(古田寛也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル