カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す大阪府市が、大阪・関西万博が開催される2025(令和7)年を開業時期として、近く定める実施方針に明記する方針を固めたことが9日、府市関係者への取材で分かった。ただ大阪参入に前向きな事業者からも「工期が短い」との懸念が示されており、府市は25年の全面開業を努力目標として掲げる一方で、部分開業も容認する方向で検討している。
府市は今月中にも開業までのスケジュールを盛り込んだ実施方針を策定し、年内には事業者公募を始めたい考えだ。
IR予定地の人工島・夢洲(ゆめしま)では、25年5月から万博が開催されることになっており、相乗効果を狙うためにも、それまでのIRの全面開業が理想的といわれてきた。
しかし正式公募に先立って府市が行った事業コンセプト募集では、複数のIR事業者が万博までの工期の短さを指摘し、同時全面開業には難色を示した。一方で「努力する」と前向きな姿勢の業者もいたという。
こうした事業者側の意向を踏まえ、府市は万博までの期間では、カジノやホテルなど一部施設の開業にとどまっても容認する方向。ただ実施方針ではあくまで25年の開業目標を維持し、今後は正式公募に名乗りを上げた事業者との対話を通じて「ベストなスケジュールを探っていくことになる」(府市幹部)としている。
松井一郎・大阪市長は9日、記者団の取材に対し「全面開業は断念していないが、万博の工事との兼ね合いで不確定要素が多い」と述べ、工期の調整が課題になるとの認識を示した。
IR誘致をめぐっては、大阪府市をはじめ、横浜市や東京都など8地域9自治体が、国土交通省の調査に「予定または検討中」と回答。同省は選定基準などを含んだ基本方針案の完全版の策定作業を進めている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース