大阪府・市は5日、カジノを含む統合型リゾート(IR)開業への工程などを定めた実施協定案を承認した。開業時期は当初想定の2029年秋~冬ごろから「30年秋ごろ」にずれ込む。事業者が投じる初期投資も、資材高騰などの影響から約1900億円上ぶれする見込みとなっている。
同日に開かれた、府市幹部が重要案件を協議する副首都推進本部会議で示された。協定案では工程のほか、事業の運営や自治体との必要な取り決めなどを定めている。
府市側は協定案について国の認可を経た上で、今月末にもIR事業者の「大阪IR株式会社」と正式な協定を締結する。その後、事業者がカジノ免許を国から交付されれば、開業に必要な手続きがほぼ完了する。
IRは大阪・関西万博の会場と同じ人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)で開業する予定。カジノだけでなく高級ホテルや国際会議場なども整備する。
協定案によると、今年秋ごろから地盤の液状化対策工事を始め、25年春ごろから施設の本体工事に着手する。開業直前の30年夏ごろまでに一連の工事を終える見込み。
開業時期をめぐっては、今年4月の国によるIR計画の認定が府市の想定より約半年遅れたことから、工期などを練り直し、開業時期を1年程度後ろにずらした。
また、初期投資額を約1兆800億円と見込んでいたが、約1兆2700億円に増額。増加分は、事業者の中核を担うオリックスと米MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人の出資額を増やしてまかなう。
吉村洋文知事は協定案の承認後に報道陣の取材に応じ、「様々な手続きの中で(開業が)1年延びたが適切な時期だ。現状で再延期はない」と述べた。(箱谷真司、吉川喬)
大阪府市が示したIR実施協定案の骨子
・2025年春ごろ着工、30年秋ごろ開業予定
・事業期間は58年4月まで。延長は原則30年間
・初期投資は17%増の約1.27兆円。増額分は大阪IRが負担
・事業前提条件に基づく大阪IRの解除権を設定(26年9月まで)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル