東日本大震災が社会に与えた影響をどう評価するかについて、大学生に継続的に行ったアンケートで、震災から10年ほど経つと、被災地の出身者とそうでない人の意識の差が目立たなくなったことが、宮城学院女子大の研究でわかった。被災地でも震災の記憶がない世代が増えていくことから、専門家は、経験の伝承が課題になるとしている。
大橋智樹教授(行動心理学)らのグループは、2013年から年1~2回、全国の18~25歳の大学生を対象にアンケートを実施。13年は対面で1992人、14年以降はインターネットで600人に聞いた。分析は日本心理学会で発表した。
大学生の出身地を、①岩手と宮城、福島の被災3県、②被災3県に隣接する東北や北関東、③その周辺の北海道・首都圏・中部、④近畿、⑤中国・四国、⑥九州・沖縄の6エリアに分け、被災地からの距離と意識の変化を調べた。
「大震災と同じような自然災害が、自分が生きている間に必ずまた起こると思う」「日本は、大震災で学んだ教訓を決して忘れてはならない」といった、大震災が社会や生活に与えた影響について、5段階で評価を聞き、「震災観」という指標にまとめた。
その結果、東日本大震災から2年足らずの13年には大震災が社会や人々の生活に与えた影響は大きいと答えた大学生が全国的に多かったが、14~15年になると、被災地から遠いエリアほど評価が下がる傾向があった。
一方、16年7月の調査では、被災地と九州・沖縄エリアで評価が高まった。4月に発生した熊本地震の影響とみられる。大阪府北部地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震があった翌年の19年には、徐々に下がっていた被災地でも再び高くなっていた。
震災観の変化とは
記事後半で「震災感」の変化を解説します。2013~23年の1年ごとの移り変わりが見えるGIF動画も。
ただ、災害が人々の意識に与…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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