関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震設計をめぐり、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、周辺住民ら約130人が国に対し原子炉の設置変更許可の取り消しを求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。森(もり)鍵(かぎ)一裁判長は住民側の訴えを認め、3、4号機の設置許可を取り消した。規制委の新規制基準下で許可を受け、再稼働したほかの原発にも影響がありそうだ。 大飯3、4号機は、定期検査中で現在運転を停止しており、終了後に再稼働する予定。国側は控訴するとみられるが、住民側勝訴の判決が確定すれば、より厳格な基準での耐震工事が必要となり、審査を経て規制委が再び設置許可を出すまで稼働できない。 主な争点は、地震発生時に原発を襲う揺れの最大想定「基準地震動」を、856ガルとした関電の評価が適正かどうか。各電力会社では、この基準地震動をもとに必要な耐震工事を原発に施している。 原告側は、856ガルの値は過去の地震データの平均値から導き出した数値にすぎず、平均値を大きく上回ったり下回ったりしたデータの「ばらつき」を考慮していないとし、国側はリスクを過小評価していると主張。国側は、地震を引き起こす断層の面積など別の指標を考慮していれば、ばらつきを考慮する必要はないとする専門家の知見に基づいて審査したと説明し、原告側の主張に科学的合理性は認められないと反論していた。 大飯3、4号機は平成29年5月、東京電力福島第1原発事故後の25年に策定された新規制基準に基づく規制委の審査に合格した。 大飯原発3、4号機は関西電力が福井県おおい町に持つ加圧水型軽水炉。3号機は平成3年、4号機は5年に営業運転を始めた。出力は各118万キロワットで、関電の原発で最大。福島第1原発事故後に国内の全原発が停止する中、当時の民主党政権が決めた暫定基準に基づき唯一再稼働した。3号機は今年7月、4号機は同11月に定期検査のため停止した。
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