自宅で大麻を所持していたとして、俳優の伊勢谷友介さんが9月8日、警視庁に大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕された。ワイドショーやスポーツ新聞はいつものようにセンセーショナルに報じ、伊勢谷さんが出演したドラマの配信も停止された。「問題児が輝ける機会の提供」を掲げて伊勢谷さんらが開校した「Loohcs(ルークス高等学院)」は、「誠に遺憾であり、また教育事業を行うものとして、その責任を痛感しております」と謝罪文を掲載した。大麻は日本で確かに違法薬物とされている。だが、その健康被害ははっきりしていない。つまづいた人をさらに叩きのめし、再起しづらくすることを私たちの社会はなぜ繰り返すのか。BuzzFeed Japan Medicalは、薬物依存症が専門の国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長、松本俊彦さんに緊急インタビューをした。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】
大麻の場合「刑罰」もおかしいが「治療」も必要か?
ーー有名人が薬物が逮捕される度に、その「転落」を消費する報道が繰り返されています。薬物の専門家としてどのようにご覧になっていますか? 作品の配信停止や、スティグマ(負のレッテル)を強めるような報道に不満があるのは毎度のことです。 一方で、全て断ってはいるのですが、メディアから「薬物依存症の治療プログラムについて教えてください」「治療現場を撮影させてください」という依頼も増えてきています。「刑罰よりも治療」を意識するメディアも出ています。これ自体はありがたいことです。 ただ、大麻使用者の場合、刑罰を与えるのもおかしいけれど、治療の対象にするのもおかしいというケースが多いのです。 覚せい剤なら話は簡単です。逮捕された人の相当な割合が何らかの治療や支援を必要とするでしょう。でも、大麻はこの数年で芸能人が逮捕された例がいくつかありますが、みんなそんなにおかしい行動をしていたでしょうか? 今回捕まった伊勢谷さんは個人的にとても好きな俳優で、映画『明日のジョー』の力石役や『るろうに剣心』でも素晴らしい演技をされたアーティストだと思います。そしてそれは、大麻をやっていたからできたわけではない。 他の捕まった人も素晴らしい仕事をされていて、おかしくはなっていないのです。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース