天井から何本もの黄金の腕がぶら下がっている電車がある。京都市内を走る京福電気鉄道に登場した「観音電車」だ。沿線にある世界遺産・仁和寺(京都市右京区)で、これまで修行の場所として非公開だった観音堂の修復工事が終わり、特別公開されるのに合わせてお目見えした。
車両を観音堂に見立て、ご本尊の千手観音像にどう「ご登場」いただくか。悩んだ末、多くの人を救う「手」をクローズアップし、中づり広告部分で見せるしかない、と決まった。天井から乗客に向けて、千手観音の救いの手が向けられる……そんなイメージだ。もちろん仁和寺からの許可も得た。
耐久性や防水性に優れた不織布「タイベック素材」に20本の腕を印刷し、裏表に貼り合わせたものを4枚、設置した。乗り込むとすぐ目に飛び込んでくる。「何や、これは」と、すかさず写真を撮る乗客に「観音堂では撮影禁止ですから、ここでは思う存分、撮っていただきたい」と同電鉄の広報担当者。珍しそうに眺めていた海外からの観光客は、これから行く予定の仁和寺で本物が見られることが分かると、「ワオ!」と喜んだ。
車体も千手観音像が描かれている。ヘッドマークも前後で異なり、片方が千手観音像の顔で、もう片方が手になっているなど、遊び心も満載だ。
同電鉄は、これまでにも造花の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル