天気がよければ、つい夜空を見上げたくなる。宮崎県都城市の「星の燈台(とうだい) たちばな天文台」は、旧高崎町が一般に公開する天文台として開設し、この秋で32年を迎える。設備は最新鋭とはいえないが、天文台の「生き字引」や熱心な指導員の人柄に引き込まれ、望遠鏡をのぞきながら、はるか銀河に思いをはせた。(森田博志)
午後8時過ぎ、天体観測ドームのスリットが横に開く。輝き始めた星と月が現れた。
口径50センチの反射望遠鏡は、重さ約500キロの巨大さ。指導員は、手動でセットしながら説明も続ける。
岩穴口(いわなぐち)栄市さん(47)は「これだけのサイズを手で振り回している天文台は見たことないです」と笑う。現在は、見たい天体に自動でセットされる望遠鏡が主流。でも、縦横自在に望遠鏡を操る姿は、見ているだけで楽しい気分になる。
名誉台長の蓑部樹生さん(77)は「売りは、指導員の話の面白さです。星の魅力をぜひ感じてほしい」と言う。
この蓑部さん、実は天文台の生き字引のような存在だ。
1986年、ハレー彗星(す…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル