地下街の北端にはエレベーターなく
「福岡市の天神地下街の階段で、ベビーカーを抱えて下りている人を見た」。春日市の女性から特命取材班に、地下街のエレベーター不足を憂える声が届いた。ベビーカーを押して歩く人たちに話を聞いた。
「ベビーカーをたたんで肩にかけて階段を下りる。今は息子が少し歩けるようになったので手を引いて。昔はだっこひもで抱えて」。福岡市東区からバスで天神に来る女性(38)は苦笑する。昭和通りのバス停天神中央郵便局前か天神3丁目で降車する。地下街の北端部の入り口は目前だが、エレベーターがない。最初から難関が待ち受ける。
天神地下街は1976年に開業、公共施設に配慮を求めたバリアフリー関連法はまだなく、エレベーターを設置しなかった。北端部を含めた北側は開業時の初期区画にあたり、階段で上り下りした時代からそのまま今に至っている。
地下街は2005年の地下鉄七隈線開業時に南側に延伸。その際、中央部に2基を設置した。現在、市と西鉄がそれぞれ設けた南端部の2基と合わせ計4基が地上と結ぶ。
大分県日田市や山口県下関市などからの遠来客は探しあぐね、ベビーカーを抱えて階段を使っていた。ベビーカーを押す外国人も見かけた。南北590メートルに4基はやはり少ない。
通い慣れた地元の子連れ客は、商業施設のエレベーターを使用
一方で、天神に通い慣れた地元の子連れ客は地下街に隣接し、地下通路で結ばれるデパートなど商業施設のエレベーターを使っていた。
福岡市西区の山本美香さん(45)は「地上にはデパートのエレベーターで上がる」、中央区の吉戒美也子さん(33)は「地下街はデパートなどとつながり便利」と語る。地下街の南側にはおむつ交換台付の多目的トイレがある。東区の久我多喜さんは「混んでいたらデパートのキッズゾーンに回る」そうだ。
設置を断念した経緯も
ただ、3人が「不便」と口をそろえたのは、やはり地下街北端部にエレベーターがないこと。隣接する商業施設に行くには階段を上らなければならず「足が遠のく」という。
天神地下街の管理を担う「福岡地下街開発」は一時、北端部へのエレベーター設置を検討したことがある。しかし、地上の用地確保が容易でなく、大工事が必要で、渡辺通りの地中は電気やガス、上下水道、通信網が過密な事情もあり、困難と判断したという。
同社管理部の宮崎優副長は「再開発事業『天神ビッグバン』で建て替わる商業ビルに対し、地下街と接続できるエレベーターの設置を働き掛けていきたい。営業上利点があり不動産価値も上がる。理解してもらえるのではないか」と期待した。 (吉田昭一郎)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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