バブル期、「レディースコミック」は全国にあふれていました。嫁姑(しゅうとめ)戦争や不倫といった“泥沼”な人間模様を、ちょっとエッチなシーンを交えて表現した大人の女性向け漫画です。現在、市場規模は10分の1以下に縮小したものの、約40年前からこの分野で活躍し、今も絵筆を握り続けている「レディコミの女王」がいます。井出智香恵さん、74歳。実は自分自身が夫の暴力に悩みながら創作してきたそうです。最近は7500万円の「国際ロマンス詐欺」の被害に遭ったことを公表するなど、自作に劣らぬ波乱の人生をたどってきたそうです。その足跡に迫ります。
平穏で安定した結婚生活が「女の幸せ」とされた1980年ごろ、若いOLや主婦たちの心をざわつかせる漫画の1分野が現れた。その名も「レディースコミック」。少女漫画にはなかった性描写が加わり、それが過激なほど売れるとされた。最盛期の91年には毎月48誌が発行され、累計1億3千万部以上が出回っていた(全国出版協会調べ)。
このジャンルが誕生して間もなく頭角を現し、今も描き続け、「レディコミの女王」と呼ばれる。以前はアシスタントを10人も雇って毎月500ページを量産。代表作は嫁姑バトルを描いた「羅刹(らせつ)の家」で、89年から「週刊女性」で連載した。老女が生魚をむさぼる場面は話題になり、後年ドラマ化。だが、雑誌は読み捨てられ、ベッドシーンや不倫などのテーマが低俗と見下されて作品は単行本になりにくく、ベテランなのに知名度は低い。それでも「次も読者に息もつかせないほど面白い話を」と日々、机に向かう。最近は、コロナ禍で売春に手を染める主婦4人の物語を連載中だ。
「夫に頼れなくても、たくましくしたたかに生きる。それが女でしょう」
電撃結婚 放蕩な夫の暴力、不倫、借金…
架空のドラマを紡ぐ自身の人…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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