夫婦や親子で結ぶ「協定」3倍に増加 家事や収益について文書で約束

 夫婦で話し合い、仕事も家事も協力する。そんな約束を文章にして、夫婦や家族で「協定」を結ぶ。実はこんな仕組みを国が公式に勧めている。農家で広がる家族経営協定といわれるもので、締結数はこの20年で約3倍に増え、全国で6万件に及ぶ。

 なぜ協定を結ぶのか。農家以外の家庭でも言えることとは――。

 家族経営協定に詳しい東京農業大学国際食農科学科の五條満義准教授に聞いた。

 ――家族経営協定とは何か。どうして結ぶのか。

 経営の発展と家族の夢を実現するため、気持ち良く働き、生活することを目的に結ぶ。夫婦が対等な関係を築くことが重要で、「パートナーシップ経営」や「ワーク・ライフ・バランス」ができているかがポイントになる。

 盛り込む項目として、経営方針や家族の就業条件、収益の分配、家事や育児といった生活面での分担などがある。

 それぞれの夫婦や家族に合った内容を作るのが大切で、モデル例に基づいてすべてを盛り込むのはむしろ不自然である。100組の夫婦や家族がいれば、100通りの協定が存在するといえる。

 「協定」という名前ではなく、自分たちの意思でアレンジして、「人生を楽しくするための約束事」というタイトルにした農家の事例もあった。

 文章にすることで、不明瞭なところをお互いに確認することもできる。

 家族経営協定を通じて、みんなのモチベーションを高め、また、エコ栽培の導入や一層快適で安全な作業環境の整備などの方針を盛り込むことは、持続可能な農業経営をめざすうえでも有効な手段といえる。

 ――農家以外の家庭にも言えることはあるのか。

 夫婦や家族で話し合って生活面のルールを決めること。会社勤めの夫婦や自営業の家族が、各自の給与から一定額を出し合って、月々の生活費といった共通の財布を明確にすること。これらは多くの家庭にも通じると思う。

 農家が結ぶ家族経営協定の中には、夫婦相互のスキルアップのために「研修に積極的に出る」といった内容を盛り込む場合もある。

 そこで、たとえば、資格取得を目指す人がいる場合に、その勉強に打ち込めるよう家族や夫婦間で、互いに配慮しフォローするといったことも考えられる。

 農家の場合、農業労働と家事労働の両面を合わせると、依然として男性よりも女性の方が負担が大きい。それは自営業や他の家庭でも言えるかもしれない。

協定を結ぶ際のポイントは?

 夫婦のどちらかに負担が偏っ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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