阿部峻介
夫婦同姓でなければ法律婚を認めない民法の規定が憲法24条の「婚姻の自由」に反するとして、2組のカップルが婚姻届の受理や損害賠償を求めた訴訟で、最高裁の第一、二小法廷は25日までに上訴を退ける決定を出した。いずれも詳しい判断理由は示していない。2組の敗訴が確定した。
23日に大法廷が判断した矢先
夫婦同姓を求める民法と戸籍法の規定については、裁判官15人がそろう最高裁大法廷が23日に「憲法に反しない」と合憲判断をした。これを受け、同じ争点を持つ2訴訟の実質判断をしなかったとみられる。
第一小法廷(木沢克之裁判長)が24日付で合憲として訴えを退けたのは、広島市の医師・恩地いづみさんと事実婚の夫が別姓での婚姻届の受理を求めた家事審判。第二小法廷(岡村和美裁判長)が23日付で退けたのは、東京弁護士会の出口裕規(ひろき)弁護士と妻が選択的夫婦別姓の制度を導入しないことについて国に賠償を求めた訴えで、決定では賠償を認める上告理由がないとだけ述べた。
日弁連「夫婦別姓の選択制を」
日本弁護士連合会の荒中(ただし)会長は23日の大法廷の合憲判断について、「(初めて合憲とした)2015年の判決を引用したのみで違憲性について実質的な検討をしていないに等しく、極めて不当だ」との声明を出した。1996年に法相の諮問機関「法制審議会」が選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を答申した点にも触れ、「議論の先延ばしは許されない。導入を強く求める」とした。(阿部峻介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル