東京女子医大東医療センター(東京都荒川区)で、白内障の手術を受けて失明した男性が病院側に約2900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。桃崎剛裁判長は、手術のリスクを事前に十分説明しなかったうえ、カルテを改ざんしたと認定し、約1千万円の支払いを命じた。
原告の坪井昇さん(88)は2013年11~12月、両目の白内障手術を3回受けた後に左目を失明した。
判決は担当医師について、手術は高いリスクを伴うが必ずしも視力の改善は保証されず、手術しなくてもすぐに失明することはないという事前説明をしなかったと認定。「説明義務を果たしていれば原告は手術に同意せず、手術は実施されず失明することはなかった」と指摘した。
さらに手術記録や看護記録と照合し、カルテの改ざんも認めた。目の一部組織が元々断裂していたなどという記載は事実と違う内容を追記したもので、術後の眼圧についても後で上からなぞって正常値に近い数値に修正したと指摘。「改ざんが発覚しなければ医師の責任が否定されたかもしれず、悪質だ」と批判した。
坪井さんは判決後の会見で「目が見えなくなったのは悲劇。私のような人がこれ以上出ないようにしてほしい」と語った。
見えなくなった悲劇 「医者を信用できなくなった」
「家族にリスクは説明したと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル