新たに世界自然遺産になった鹿児島県・奄美大島で、アマミノクロウサギなどの希少動物を襲うフイリマングースの根絶が近づいている。捕獲のプロ集団「奄美マングースバスターズ」らの活躍で、推定生息数は10匹以下と、ピーク時の1千分の1に。その成果は遺産登録の実現も後押しした。傷ついた生態系を回復させる「快挙」だが、費用という大きな代償も払っている。
「あちこちにクロウサギのフンがある。森で色んな生き物が見られるようになった。うれしいね」
4月下旬、島中部の山中を巡回中の山下亮さん(49)が笑顔を見せた。マングース捕獲のプロ集団「奄美マングースバスターズ」の隊員。埼玉県出身だが、自然に関わる仕事がしたいと、保護対策の先進地ニュージーランドで学んだ後、奄美に移住した。バスターズでは最古参の隊員だ。
ハブやネズミの駆除のため、島にマングースが放たれたのは40年以上前。だが、昼に活動するマングースが夜行性のハブと出合う機会は少なく、代わりにエサとして襲ったクロウサギやケナガネズミなど在来の希少動物が減っていった。
「貴重な生き物が絶滅してしまう」。自然保護関係者の声を受け、1990年代前半に駆除が始まり、2000年度からは環境庁(当時)が取り組みを本格化。当初は1匹あたり数千円を民間人に払う形だったが、計画的に進めようと立ち上げたのがバスターズだ。隊員らは島全域に約3万個のワナを張りめぐらせ、最初の2年間で約5300匹を捕獲。これまでの累計捕獲数は民間分も含め3万2千匹を超えた。ピークの00年に1万匹と推定された生息数は20年時点で10匹以下とされた。
ワナに試行錯誤 たどり着いたエサは?
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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