奈良県の荒井正吾知事は25日の定例記者会見で、世界遺産が集中する奈良公園周辺で渋滞が深刻化していることに関連して「(問題の)根本は(東大寺の)大仏殿だけ見て帰る人たち。来なくていい」と発言した。観光客を排除するような趣旨で、その後、「修正し、取り消します。書かないように」と述べた。いら立ちの背景には県の渋滞対策がうまくいっていないことがある。
県は今年4月、東大寺大仏殿前の渋滞対策として、新しいバスターミナルを整備した。バスターミナルは乗降専用で、客を降ろしたバスは奈良公園から離れた駐車場に誘導されるため、これを嫌うバスが付近の寺社にある駐車場に殺到。春日大社は10、11月の土日祝日に、観光バスの駐車を受け入れないことにした。今回、新たに興福寺もバスの駐車を一部制限することを決めた。
荒井知事の発言は、県の対応に問題がないのかを質問した記者への回答だった。荒井知事は発言について「道が混むだけじゃ困るし、大仏だけ見て帰るなら奈良の経済のためにもならない。できるだけ滞在してほしいということ」と釈明した。(加治隼人、根本晃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル