奨学金、苦しければ減額返還や猶予も JASSO理事長インタビュー

 大学生の2人に1人が借りているといわれる奨学金。「貸与型奨学金の返還に追われて苦しい」「返還が難しくなっている人への対応が厳しい」といった指摘もある。日本学生支援機構(JASSO)の吉岡知哉理事長(70)に話を聞いた。

返還金は次世代に貸す分に回す 「困ったらまず相談を」

 ――貸与型奨学金を返している人が、収入減などで苦しくなる例がある。滞納が続くと元金と利子分の一括返還を請求されて過酷すぎるという声もある。

 返還金は次世代に貸す分に回す。返還されない分は税金で補塡(ほてん)しなければならないので、きちんと返していただく。

 ただ、返還が大変な状況になった人には減額返還や返還猶予などの救済制度があり、詳しく説明する文書も送っている。延滞したら猶予ができないわけではない。延滞者には早めに何度も連絡をし、そうした情報も伝え、どうしたら返還できるか相談に乗っている。

 こちらの連絡に全く対応してくれない人は法的手段に進まざるをえないが、裁判になっても分割返還での和解が大半だ。「9カ月間延滞したら全ての人が一括返還が必要」ということではない。困ったらまず相談してほしい。

 貸与型奨学金の制度は、高等教育を受けて就職したら一定以上の収入が得られるということが前提にある。現実には賃金が上がらない一方で学費が上がり、最近は物価も上昇している。広い視点でどうするか考えるべき問題でもある。

「奨学金の返済苦」による自殺 「個別ケースは慎重に見るべきだ」

―国の統計で昨年は自殺の原因や動機の分類に「奨学金の返済苦」が追加され、複数選択の結果、10人が該当した。

 自殺はいろいろな要因が連鎖する。統計は要因を四つまで選べるもので、遺書のほかに周りの人から聞いたものも含めており、周囲の人の主観も入る。個別ケースは慎重に見るべきだ。例えば10人のうち1人は20歳未満、3人は学生なのでJASSOの奨学金を返還中ではないと思われる。

 全返還者に占める3カ月以上の滞納者は2・7%のみ。毎月の返還額は1万~2万円程度で、ほとんどの人が無理なく返せている。有利子の貸与型第2種も金融機関より利率は低い。障害を負うなどして返せなくなったら救済手段もある。

 奨学金は勉強をしたい人を支援する制度。「借りたら大変」「返還が怖いから進学をやめよう」と思わずに賢く利用してほしい。学費や生活費のためにアルバイトに追われて学業に集中できないようでは本末転倒だ。

 ――そもそも本人が「返さないといけないと知らなかった」という例もあるようだが。

 「親が手続きをしたからよく知らなかった」「親が返すものだと思っていた」というケースもあったが、現在は考えづらい。手続きの過程で繰り返し確認をしている。ネット上で申請や継続のときに「返さないといけないことを知っていますか?」と聞いて「はい」と答えないと先へ進めない。在学中も返還について本人に情報を伝えるようにしている。

 ――本人や連帯保証人(親な…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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