千葉県野田市の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が2019年1月、父親の虐待を受けて亡くなった事件を受け、市は再発を防ぐための条例を1日から施行した。何が変わったのか。鈴木有市長(67)に聞いた。
事件から5年かかった「虐待防止条例」施行
――市の虐待防止条例について教えてください。
「虐待に対応する職員は直接問題に関わり、精神的な負担が重い。定期的に異動せざるを得ないため、当時を知る職員が減り、風化する懸念がある。条例は職員の仕事を明文化し、具体的に動ける、実効性のある内容にした。通告があった場合は24時間対応する」
――虐待の疑いがある事案を発見した人は通告することを責務としました。
「連絡するどうか迷う人もいる。市役所に来た人に声をかけ、相談しやすくする。罰則はないが、罰則があるから連絡するというのは問題。罰則は作らない」
「心愛さんが亡くなる3カ月ほど前に『市長と話そう集会』という企画で会い、『どんな仕事をしているんですか』と質問された。直接話したので、つらい。風呂でシャワーの冷たい水に触れるたび、『これをずっと浴びていたのか』と思い出す。職員とは一緒にいろいろと考えてきた」
「今なら心愛さんを救えますか」 野田市長の答えは
――条例の施行まで5年かか…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル