西崎啓太朗
2019年に茨城、大阪の両府県の女子小中学生を誘拐したとして、わいせつ誘拐などの罪に問われた無職伊藤仁士(ひとし)被告(37)=栃木県小山市=の公判が26日、水戸地裁で結審した。被告は一貫して無罪を主張してきたが、検察側は誘拐の意図は明らかだとして懲役24年を求刑した。3月22日に判決が言い渡される。
伊藤被告は、SNSを通じて知り合った県内の女子中学生と、大阪府内の小学6年の女児を誘拐したとする罪などで起訴された。
伊藤被告は公判で、SNSで自殺をほのめかしていた2人の相談に乗ったり、保護したりするためだったとして、誘拐の意図はなかったと説明。中学生だった少女とは、結婚を前提に交際していたと主張していた。一方、この少女は公判で、交際を否定し、「怖くて逆らえなかった」と証言していた。
検察側は論告で、中学生だった少女の証言が具体的で信用できると指摘した。2人を助けるためだったとする被告の主張は不自然だとして、誘拐したことは明らかだと説明。「弱った人の心を利用した悪質な犯行」と非難した。
弁護側は、中学生だった少女との関係を「真摯(しんし)な交際をしていた」として、わいせつや誘拐の目的を改めて否定。小学生だった少女についても自殺を防ぐための「緊急避難」だったと述べ、無罪を求めた。
伊藤被告は最終陳述で、「親に虐待され、学校でも捨てられた少女を助けようと私はできる限りのことをした」と訴えた。(西崎啓太朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment