大阪府富田林市で栽培されている「海老芋(えびいも)」。里芋の一種で、皮のしま模様と反り返った形はまさしくエビのようだ。この「富田林の海老芋」が7月、農林水産省の「地理的表示(GI)保護制度」に府内で初めて登録された。そしてこのほど、府立富田林高校2年の女子生徒5人が、海老芋を使った商品を開発した。
市によると、海老芋は明治時代から市内で栽培が始まり、現在は約20軒の農家が約1・5ヘクタールで育てている。「土寄せ」という技術で曲がった形に成長し、高級食材として知られる。
海老芋を使った商品開発に取り組んだのは、富田林高の模擬会社「ぷるーとん」の生徒たち。海老芋を「舌触りが滑らかで、めちゃくちゃおいしい」と口をそろえる。
手軽に食べてもらうにはどうしたらいい? プリンやアイスクリームを考えたが、配送コストなどを考え、「炊き込みご飯の素(もと)」にした。
生徒たちは、キャラクター「えびのいもこ」を作り、商品「えびのいもこの炊き込みご飯」を開発した。
「海老芋がごろごろ入っていて、しゃもじで簡単に小さくでき、小さな子どもからお年寄りまでおいしく味わえます」という商品。使ったのは、子芋・孫芋に比べて食感がやや硬く、出荷されないことも多いという親芋だ。食品ロスを減らし、価格も安くできる。
調理方法を工夫し、軟らかな食感を出すことができたという。だしの濃さを調整するなど4回の試作を重ね、食品添加物無しで仕上げた。ニンジン、シイタケ、ゴボウも入っている。
開発では、市内で海老芋を生産している「乾農園」と、食品加工製造会社「開屋本舗」から協力を得た。生徒たちの模擬会社は、「高校生模擬起業グランプリ」(認定NPO法人「金融知力普及協会」主催)で最終6チームに選ばれた。
「社長」を務める井上蘭さんたちが「富田林の活性化につなげたい。自信作です」と話す商品は、「ぷるーとん」のサイト(https://4shop03.base.shop/)では売り切れとなり、追加販売を準備中だ。
ネット以外では、15日午前9時から河内長野市高向の「道の駅 奥河内くろまろの郷」、同日午前10時から富田林市向陽台3丁目の「エコール・ロゼ」、21日午前11時から吹田市の万博記念公園で販売する。
価格は2合用が670円、3合用が750円。ぷるーとんのネット販売は10月末までの予定だ。その後は開屋本舗が販売を続ける計画という。(前田智)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル