男女平等の先進国であるスウェーデンの駐日大使、ペールエリック・ヘーグベリさんは3月8日の国際女性デーが「嫌い」だと言います。女性が不平等な状態に置かれているにもかかわらず、この日だけ祝うことへの異議申し立てです。では、どうすれば――。実りある日にするための提案を語ってくれました。
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2008年からスウェーデン外務省に勤め、16年から駐ベトナム大使。19年9月から駐日大使を務める。
国際女性デーは嫌いです。1年は365日。1日だけでなく毎日が女性の日、男女平等の日であるべきだと思っているからです。
女性デーを祝いましょうとか「Happy Women’s Day」という言い方も好きではありません。何がハッピーなのでしょう? 女性の賃金は男性より低く、企業の取締役会など意思決定へのアクセスも少なく、政治参加の機会も少ない。逆に家事分担ではいろんなことが女性に押しつけられ、朝早く食事をつくって出さないといけなかったり、夜遅くに帰ってきた夫に食事を出してあげたり。そんな不平等な状態なのにどうして祝うんでしょう。
今年の女性デーは日本にとって特に、ジェンダー平等を考える重要な機会となるでしょう。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言があったばかりだからです。
男女平等の度合いを示すランキングで4位(日本は121位)のスウェーデンは男女平等で最も進んだ国の一つと言われています。しかしそのスウェーデンでも、「まだまだ足りない」といって議論を続けています。男女平等は民主主義と同じ。毎日みんなで話し合いをして監視をして、毎日あたためていかないといけないものです。
女性デーは、男女平等について意識を深める日にしてもらいたい。なぜ自分はこう言っているんだろう、なぜこんな振る舞いをしているんだろうということを。たとえば森さんなら、どういう衝動に駆られてあの発言をしたのかその根底にあるものを反省してみてほしい。女性デーを、男女がともに意識を深め、社会的な構造にメスをいれるような、そういう日にしたいですね。
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2008年からスウェーデン外務省に勤め、16年から駐ベトナム大使。19年9月から駐日大使を務める。(聞き手・岡林佐和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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