政府は起業家に占める女性の割合を2025年までに30%以上に引き上げる目標を掲げ、政府系金融機関が優遇金利を設けたり、自治体が支援制度を打ち出したりしている。だが、それでも女性は資金調達に苦労する状況が目立ち、平均開業費用も男性との間で2割以上の差が出ている。
どうしたらいいのか。そもそもなぜ、女性起業家を増やした方がいいのか。ESG(環境・社会・企業統治)重視のベンチャーキャピタル(VC)「エムパワー・パートナーズ・ファンド」創業者の1人、キャシー松井さんに聞いた。
――女性の起業家が増えない現状をどう見ていますか。
女性の起業家や、そこにお金を出す投資家が少ないのは世界的にも問題で、米国でも少ないです。
資金を出す側が多様でなければ、多様な投資家にお金が回ってゆきません。投資家はリスクをとってなるべく高いリターンを得なければならないわけですが、そこで自分が見慣れない、生まれ育ったバックグラウンドや考え方が必ずしも一致しない人がテーブルの反対側に座った場合、本当に事業計画を実現できるかどうか不安になります。事業がフェムテックや女性の健康といった領域だった場合、男性投資家がよくわからないと感じる、ということもあります。
こうしたことは、女性が投資家で男性が起業家の場合にも起き得るでしょう。しかし今、資金を提供する側は男性が圧倒的な多数派です。このため、「○○年までに○○億円を達成する」と同じように言った際に、女性起業家がより疑問視され、「本当に市場適合性があるのか」など、男性だとされないような質問を投資家から受けるということが起きています。それを示す調査結果も出ています。無意識の偏見ですね。
――起業家が多様になることで、どんなことがもたらされると考えますか。
人権や平等という観点に加え…
Think Gender
男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る]
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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