松浦祥子
神戸市の住宅地で2017年、祖父母と近隣住民3人を殺害し、2人に重傷を負わせたとして、殺人や殺人未遂の罪に問われ、一審で無罪判決を受けた男性被告(32)の控訴審第1回公判が12日、大阪高裁であった。無期懲役を求刑していた検察側は無罪判決の破棄を求め、弁護側は改めて無罪を主張した。
被告による殺傷行為が妄想などの影響下で行われた点に争いはなく、刑事責任能力の有無が争点となった。
証人尋問では、起訴前の被告の精神鑑定をした医師2人が出廷。うち一人は、被告が捜査段階の取り調べで「ためらいはあった」などと発言していたことから、妄想の影響は限定的だったとした。もう一人は、被告が幻聴によって妄想を信じ切っており、「妄想に圧倒的に支配されていた」と異なる見解を示した。
被告は17年7月、同居していた祖父母を金属バットで殴るなどして殺害し、近くの民家で住民女性を包丁で刺殺し、母親と別の近所の女性に重傷を負わせたとして起訴された。21年11月の一審・神戸地裁の裁判員裁判は、「心神喪失状態の疑いが残る」として、無罪判決を言い渡した。(松浦祥子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル