ふとしたときに押し入れにある菓子箱に手を伸ばす。中にしまってあるのは手紙。「毎日頑張りすぎてませんか」「奈津ちゃんの幸せを日々願っております」。手書きの文字に目を落とすうち、ほっこりした気持ちになる。もう何回読み返したか。浮かぶのは、あの時の穏やかな笑顔だ。
高知市の高橋奈津子さん(57)が幼いころ、周りに一人っ子は少なかった。幼稚園で仲良しのリエちゃんにも妹ができた。母に「きょうだいがほしい」とだだをこねた。友だちがきょうだいと遊ぶ姿を見て、さみしさとうらやましさを感じていた。
高校生の時、法事で集まった親戚が母に「もう言うたらええやん」と話すのが聞こえた。「え、何の話?」。母は表情も変えず、「離れ離れになった子どもがいる」と話し始めた。夫を結核で亡くし、再婚するとき2人の間にいた幼い娘を手放していた。
「ほんま?」
驚き以上に、姉がいるうれしさがあった。
姉さんに会ってみないか。親戚…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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