かつて「男・女」と記載されていた戸籍の婚外子の続き柄を、法律上の夫婦の子と同じ「長男・長女」方式に改める手続きが広がっていない。20年3月末時点で更正されたのは約4万6千件だが、記載の区別が見直された2004年11月より前に生まれた婚外子は50歳以下に限っても約53万人おり、まだ多くは婚外子と分かる記載が続いている。
両親が婚姻届を出していない婚外子の続き柄については、04年3月の「プライバシー権の侵害」という東京地裁判決を機に法務省が記載の区別を見直した。同年11月以降は、母からみた出生順で「長男・長女」方式に変わっている。変更以前に生まれ、「男・女」で書かれている婚外子は、本人または母が市区町村の窓口で「更正」を申し出れば改められる。
だが、法務省によると、20年3月末時点で更正申し出があったのは4万6110件だった。制度が見直された04年度は3750件だったが、17年度以降は2千件を下回っている。戸籍を更正したことが分からないようになる再製手続きまで行ったのは、15年半の合計で5932件のみだった。
背景には、婚外子と申し出る心理的な壁に加え、窓口の担当者に制度が周知されていない実態がある。
埼玉県越谷市の松田典子市議(42)は昨年、本籍地の自治体の窓口で、未婚で出産した子の続き柄記載を変えたいと申し出ると、「成人しているので、本人からの申し出でないとできない」と言われた。「そんなことはない」と食い下がると、職員は上司と相談し、「お母様でも大丈夫です」と言ったという。松田さんは「自分が制度を知らなければ、あきらめていたかもしれない」と話す。
法務省は08年度、再製までの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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