腹の底に響く低音の前奏に鉦(かね)の音が鳴り響くと、舞台の上は「地車(だんじり)」の世界へ一変する。この夏の第15回日本高校ダンス部選手権(ダンスの甲子園)のビッグクラス(13~40人)で大阪府立久米田高校ダンス部(岸和田市)が初優勝した。約60人の部員を率いたのは、ダンス未経験の八木克容(かつひろ)さん(59)。チーム作り、そして日本一になるために「こだわったこと」を聞きました。
――2年連続準優勝からの初優勝。なぜ、地元・岸和田市の祭り「地車」を演目に選んだのですか。
「2年連続の準優勝はうれしかったのですが、行き詰まりも感じていました。うちにしかできない表現は何か。頭に浮かんだのが『地車』でした。地域の祭りには世界で通用する魅力がある。『大阪にはこんなダンスがあるんや!』と日本に、そして世界に発信したかったんです。衣装にもこだわりました。日本一になるためには、日本一の衣装も必要だと考え、岸和田出身のデザイナー、コシノヒロコさんを訪れ、衣装制作を直談判しました」
――ダンス未経験からの全国優勝と聞きました。2011年に指導を始められた頃は苦労されたのでは。
入院していた時、ダンス部の生徒たちが……
「それまでダンスとは無縁で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル