新型コロナウイルスの感染が広がり、全国の学校が一斉に休校してから2年が経ちました。その後も続くコロナ禍で長期にわたって制約のある生活を強いられている子どもたちに、何が起きているのでしょうか。貧困に苦しむ子どもたちを支援するため、NPO法人「キッズドア」の渡辺由美子理事長に聞きました。
――この2年間、子どもたちの貧困はどんな状況にあるのでしょうか
まず学業面で、格差が拡大したと考えています。困窮する子育て家庭を対象にアンケートしたところ、5割が「コロナの影響で子どもの学力が低くなった」と回答しました。長期間の休校で塾や有料の勉強アプリなどを活用できる子どもと、学校から配られるプリントをこなすだけという子どもでは、学力差が開いてしまいます。
コロナで拡大した学力差
コロナ禍で図書室や自習室が閉鎖し、自分の部屋がない子どもは勉強する場を失ってしまいました。オンライン授業に切り替わっても、自宅にネット環境がなくて受けられないという子もいます。
収入面で言うと、親の勤め先の休業や自宅待機で仕事に行けずに給料がもらえないという声が寄せられます。非正規の仕事や飲食業、観光業の仕事をしている家庭を中心に、月の給料が0円という家庭もあります。
2020年度に大学受験をサポートする奨学金を支給しました。支援した生徒や保護者へのアンケートでは、7割が受験した学校は1校のみと回答しました。「コロナの影響で大学入学共通テストの受験料が支払えず、受験を諦めた」という子や「行きたい学校よりも学費を見て学校を選ばなければならなかった」という子もいました。経済的な理由で進学を諦めたり、進路変更を余儀なくされたりした子どもたちが実際にいるのです。
今年に入っても感染が急拡大し、全国的に休校が相次いでいます。学校に集まれないことで友人との関係を育む機会が限られ、親と過ごす時間が増えて虐待の件数が増加するなど様々な弊害が出たとされます。記事の後半では、求められる困窮家庭への具体的な支援策を提言しています。
肉を買ってあげたいのにお金がなくて…
――困窮する子育て家庭の生活の実態は
この年末年始に困窮家庭26…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル