高橋俊成
小学生の実子に長時間の正座を繰り返し強いたとして強要罪に問われた母親と高校時代の同級生の女に対し、名古屋地裁は17日、懲役3年執行猶予5年(いずれも求刑懲役3年)の判決を言い渡した。戸崎涼子裁判官は「卑劣で陰湿な犯行。児童の受けた肉体的、精神的苦痛は計り知れない」と述べた。
判決は、母親と女は正座を崩すと頭をたたいたり、正座を続けているかを監視するために撮影用の携帯電話を設置したりして、被害児童を強く恐れさせて犯行に及んだと認定。児童が夜間に正座したまま前に突っ伏して眠ると責めたほか、口を粘着テープで塞いだり手をタオルで縛ったりして正座を続けさせたとも指摘し、「態様が相当悪質であることは論をまたない」と非難した。
母親は児童の首を押さえつけるなどした暴行罪にも問われており、判決は「児童を黙らせるために行ったもので、正座強要と同様に卑劣で悪質だ」と指摘。その上で「児童の心身の発達への影響も懸念され、結果は重大」と断じた。
2人の役割について判決は、女が母親に「児童に厳しく接するように」と繰り返し言うなどして精神的に追い詰めたり、架空の人物を装ったLINEのやり取りで相当の無理を伴う要求を受け入れさせたりしたと認め、「女が主導的役割を果たした」と判断。ただ、母親が主体的に犯行に加担したことも否めないとし、「2人の刑事責任は同程度に重い」と結論づけた。検察は女が物心両面で母親を支配し、「責任は断然重い」と主張していた。
一方で、2人が反省していることなどを量刑で考慮したと述べた。猶予期間について「犯行の悪質さや執拗(しつよう)さ、2人の関係性を考慮し、時間をかけて更生できるか見極める必要がある」とし、刑法上認められる最長期間である5年が相当だとした。
判決によると、母親と女は昨年4月ごろ~6月9日、それぞれの自宅で児童(9~10歳)を畏怖(いふ)させて長時間の正座を強要。母親は昨年6月2日ごろ~9日、女の自宅で児童に馬乗りになって暴行した。裁判は被害者保護のため、被告の名前や年齢などは非公開で審理された。(高橋俊成)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル